前年は5枚の作品をリリースし、YB Betterのミームなどもありラップシーンにおいて常に中心にいた1年でした。一方、仲間のラッパーであるQuando Rondoが、シカゴ出身のKing Vonとの間に起こしてしまった事件により、両者のボスであるNBA YoungBoyとLil Durk間でのビーフに発展してしまいました。ラップ以外の部分でバッシングを受けることが増え、立場が危うくなりつつありました。そのような中で迎えた2021年ですが、3月ごろにまたしても逮捕され刑務所に入ってしまいます。それでも勢いは衰えず、2枚のプロジェクトをリリースしました。
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2021年
22nd : Sincerely, Kentrell (9/24)
獄中からリリースされたアルバムです。この作品は全米1位を獲得したのですが、獄中アルバムが1位になったのは2PacとLil Wayne以来の快挙だそうです(参考:https://hypebeast.com/jp/2021/10/nba-youngboy-released-no-1-albums-sincerely-kentrell-while-incarcerated-2pac-lil-wayne-news)
このアルバムはピアノやギターを中心としたシンプルなサウンドの曲が多く、当時大人気だったPolo GやRod Waveらのアルバムと雰囲気は近いです。客演もなしで、YoungBoyのラップスキルやメロディセンスを堪能できる作品です。似たようなビートの曲が多いので後半だれてくる部分もありますが、Bad MorningやToxic Punk、Nevadaなど良曲が揃ってます
Bad Morning
1曲目ですが間違いなくこのアルバムで一番いい曲です。個人的にもYoungBoyの曲の中で5本の指に入るくらいには好きな曲です。ミチミチに詰め込んだ長めのバースが半端なくかっこいいです。このアルバム出た当時はひたすらこの曲をリピートしていました。
On My Side
緊迫感のあるビートでハードな状況についてラップする曲です。吠えるような高速ラップがかっこいいです。獄中なのでMVに本人不在です。
「I’m by my lonely, probably two guns on me (俺は一人でやってるけど多分2人が俺に銃口を向けている)」
I Can’t Take It Back
切ないビートで切実に歌い上げるのがグッとくる曲です。
「Shyne, I need some clear diamonds, boy, I see some clouds in that (傷のないダイアモンドがほしいのに、俺にはそれが曇って見えるんだ)」38 Baby 2収録のDiamondsで自らをダイアモンドに例えていると書きましたが、この曲でも同様に自分の過去の過ちをダイアモンドの傷に例えて、過去を取り返すことはできないと歌っています。
Toxic Punk
タイトル通りな感じでラップより歌に近い曲です。サビが耳に残って癖になります
Life Support
長々とペインを歌う曲です。Life Supportは生命維持装置のことで、この曲では恋人からの愛情のことを例えています。そしてそのLife Supportを失って死に向かっていっていると歌っています。
個人的にはMVにラーメン屋が映る場面が気になります。どこで撮ったんかな?
Break Or Make Me
落ち着いた曲です。地味ですがいい曲です。MVの全身黒い服のYoungBoyがかっこいい
Nevada
口ずさみたくなるようなサビがいいです。ライミングがわかりやすく、情景が浮かんでくるようなリリックもよく、アルバムの中で特に聞きやすい曲だと思います
ちなみにYoutubeに上がっているバージョンはアルバムと比べてサビの回数が一回多いです。こっちのほうがいいですね
Kickstand
短いですが明るいピアノのメロディと高めの声でのラップが心地よい曲です。またMVにBirdmanいてます
White Teeth
ちょっとアルバムの中で浮いてるような気もしますがノリのいい曲です。タイトルのWhite Teethはダイアモンドのグリルズを外したら白い歯が見えるって意味かな?しらんけど。MVも含めてジュエリー自慢ソングって感じです
23rd : From The Bayou (w/ Birdman) (12/10)
刑務所からもどってきて初めてのリリースです。こちらは地元ルイジアナの大先輩Birdmanとのコラボミックステープです。Birdmanは90年代から活動しているラッパーで、Big TymersでのStill Flyなどが代表曲です。また、Cash MoneyやRich Gangのボスとして、Lil WayneやYoung Thugを見出したことでよく知られていると思います。
2018年から予告されてた作品が3年越しにようやくリリースされました。とはいえ、Birdmanのラップは1割くらいでほとんどYoungBoyがラップしてます。というかまともにBirdmanがラップしてる曲3つしかない・・・
コラボアルバムとして期待して聞くと残念ですがYoungBoyソロの曲もBlack BallやHeart & Soulなど良曲が収録されているのでギリ許せます。コラボ曲は期待通りどれもよかったです。
100 Rounds (w/ Birdman)
いつものYoungBoyな感じのビートでの曲です。ゆったり目なBirdmanと、いつにも増して攻撃的なYoungBoyの対比が面白いです。MVでRG(Rich Gang)のチェーンをYoungBoyが着けてますがBirdmanにもらったんですかね??
We Ride (w/ Birdman)
こちらはBirdman寄りな昔のニューオーリンズ感のある曲で、元気にラップするBirdmanが聞けます。もちろんYoungBoyも外しません
Heart & Soul / Alligator Walk
アコースティックなサウンドのHeart & SoulとハードなAlligator Walkの2曲が1つのMVにて同時に発表されました。
Heart & Soulは切ない雰囲気の曲で、safe than sorryなどこういう曲がこのころから増えてきました。自分自身に語りかけるようなサビが印象的な曲です。
Aligator Walkではタイトルにある”From the Bayou”というフレーズがでてきます。Bayou(バイユー)とはルイジアナ州のミシシッピ川流域を指すようで、彼らの地元という意味だと思います。アリゲーターはミシシッピ川に生息しているワニです。地元Rep曲ですね。
「Really from the bayou This that alligator walk(まじでバイユーから来ているんだ。これはアリゲーターウォークだ)」
Black Ball
このアルバムでは一番いい曲だと思います。ギターと管楽器主体の穏やかなビートにしっかり聞かせるラップを乗せていてとてもかっこいい曲です。
「Try to block me out, blackball, but they see me now(ヘイターは俺を追い出そうと反対投票をする。でも今も俺はやつらの見えるところにいる)」ビーフやバッシングもありながらラッパーとして頂点に立ち続けているYoungBoyならではのリリックです。
まとめ
約半年間刑務所にいたため、アルバム2枚のみのリリースとなりました。一方で、新しいスタイルを試していくような曲もみられ、好みは分かれるかもですが試行錯誤を感じる1年だったと思います。年末にリリースされたFrom the Bayouでみせたようなスタイルは2022年にリリースされた曲のベースになっていたと思います。
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