前年にメジャーデビュー作を含め6作のプロジェクトをリリースするなど大きな飛躍を果たしたNBA YoungBoyでしたが、2019年はまたしても法的トラブルにより3ヶ月間を刑務所に過ごすことになりました。釈放後も、現在まで続くHouse Arrest(自宅監禁)により、家から出れない状況となっています。そのような影響もあり、2019年のリリースは数枚のシングルと1枚のミックステープのみでした。それでも、そのミックステープAI YoungBoy 2は初めてBillbordチャートで全米1位になり、衰えぬ存在感を示した1年でした。
前回の記事
2019年
16th : AI YoungBoy 2 (2019/10/11)
プロジェクト単位で言えばYoungBoyの作品の中で一番人気がある作品だと思います。アグレッシブなスタイルからエモーショナルな曲まで万遍なく揃っているのでYoungBoyがどんなラッパーかよくわかる作品です。
客演はNBAからQuando RondoとNoCapが参加してます。客演最小限に抑えるスタイルなんいいですよね
Carter Son
地元感溢れる曲です。Carterと言えばやはりLil Wayneですね。刑務所にいる父親についても言及しています
「My father left my sis and bros, to them, I feel I owed it (俺の父は俺の兄弟と姉妹を残していった。俺が背負っているんだ」
Self Control
出所して最初にでたシングルで、YoungBoyが刑務所から出てきて家族や3Threeらに迎えられています。重たいビートがいい感じです。
「When my grandma died, I had to beat the odds and it wasn’t easy / When Boozilla died, I almost lost my mind, broke me to pieces / We was slangin’ iron for Dump and all the rest, it ain’t no secret / 38 across my neck, we be them boys you don’t want beef with (祖母が亡くなった時、俺は逆境に立ち向かわないといけなかった。それは簡単なことじゃなかった。 / Boozillaが亡くなった時、気持ちがぐちゃぐちゃになった。 / 俺たちはDumpの敵討ちのために銃撃した。 / 38のチェーンを首にかけた時から、お前は俺たちと争うのを避けているんだ)」みたいな過去を振り返るリリックとか、
「Every night ‘fore I sleep, I think ‘bout the North Side where I grew up (毎晩眠る前、俺が育ったノースサイドのことを考えている)」みたいなビッグになっても地元のことを忘れない姿勢にグッと来ます。
Make No Sense
大ヒット曲です、言うまでもなく最高です。「I feel like I’m Gucci Mane in 2006」このフレーズは他のラッパーにも引用されてますね(Lil GnarのAlmaighty Gnarとか)。
Slime Mentality
ちょっとSlime Beliefとビート似てますよね。サグライフについて吠えるようにラップしてます。
「I’m thuggin’ for real, I tell you, b***h, I cross the law line(俺はマジでサグなんだ。俺は一線を超えるんだ)」
Ranada
jetsonmadeやYung Lanらがプロデュースのメロディアスな曲です。
「She a hood queen and her name is Ranada」というリリックの通りで、Ranadaとは地元のとある女性のことを指しています。実在する人物なのかはわからないですが、その人に対する愛を歌う曲です。
Lonely Child
NBA YoungBoy史上最もエモーショナルな曲です。亡くした人や離れている人(子どもやベイビーママ)たちについての気持ちを歌ってます。獄中で書いたんかなって感じです。これまでの曲を聞いてるとこの曲の中に登場する人たちのこともだいたい理解できると思います。
「I wish that I can hear Dump say, “What up, lil’ brother?” one more time」とかシンプルですが涙腺に来ます
In Control
ビートからしてめちゃめちゃイカツイ曲です。リリックの中でも言及されてますけど”War Wit Us”タイプの曲です。バースではハードにライミングしてる一方で、サビでちょっと流し気味なんも余裕あって最高っす。アグレッシブな曲の中ではトップクラスに好きです。超かっこいい
Where The Love At
温かみのあるビートに乗せて、暴力の世界から足を洗いたい気持ちを歌ってます。
「I pray to God that I ain’t taking after my papa」55年の懲役に服している父親に言及し、自分は父親と同じ道を辿らないということを誓っています。
おまけ
この年はミックステープは1枚だけですが、収録されてないシングル曲もたくさん発表してます。せっかくなのでここで紹介していきます。
Kick Yo Door
Gangsta Fever
Scenes (feat. PnB Rock)
昨年亡くなってしまいましたがPnB Rockも2010年代後半を代表する素晴らしいアーティストです。めっちゃ聞いてました。なんとなくサウンドクラウドラップを思い出すようなビートです。
R.I.P. PnB Rock
FREEDDAWG
ベースが太いビートでアングリーなラップをしてます。DDAWGは刑務所にいるYoungBoyのいとこらしいです。結構人気曲じゃないでしょうか
4 Sons of King
自分の子どもたちに向けたメロディアスな曲です。
Bandit (w/ Juice WRLD)
多分Juice WRLDが生前最後に発表した曲だったと思います。訃報を聞いた時はびっくりしました。
Lost Motives
切ないピアノビートですがラップはハードです。
Bring ‘Em Out
間奏やHookなしで3分近くラップし続けてます。勢いが半端ないです。
Dirty Iyanna
古いロックみたいな曲
まとめ
Make No SenseやFreeDDawgなどヒット曲を連発した1年でした。残念ながら当時はまだ日本での知名度は低かったですがそれでもJuice WRLDやTrippie Reddなど日本でも人気あるラッパーへの客演などもあり、じわじわ聞かれるようになっていったように思います。
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