2019年に初めてBillboardチャートで全米1位を獲得し、ヒップホップシーンの新世代を代表するラッパーとなったNBA YoungBoyは、2020年も絶好調で、5枚のプロジェクトをリリースし、客演にも引っ張りだこと、まさにシーンの中心での大活躍でした。
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2020年
17th : Still Flexin, Still Steppin (2/21)
この作品が出たころはとてつもないリリースラッシュでした。具体的に挙げると、
Quando Rondo – QPac
King Von – Levon James
A Boogie wit da Hoodie – Artist 2.0
Lil Wayne – Funeral
Lil Baby – My Turn
The Weeknd – After Hours
Lil Uzi Vert – Eternal Atake
などなど。挙げるとキリが無いくらい、毎週のように傑作がリリースされてたのでちょっと埋もれがちでした。
それでも、気づくと全曲お気に入りなぐらいいいミクステです。この作品あたりから徐々にエモーショナルな曲の割合が増えてきたなと思います。
客演はおなじみのQuando Rondoが参加してます。
このミクステは最高で全米2位になりました。
Lil Top
Lil TopとはYoungBoyの小さいころのあだ名らしいです。感情入ったラップがめちゃくちゃかっこいいです。2020年にリリースされた曲の中では1番よく聞いてます。
底辺から抜け出して大金持ちになったこと、それでも常に銃を携帯し、いつでも臨戦態勢にあるというようなことを歌ってます
「we flexin’ while we steppin’」アルバムタイトルにつながるラインもここで出てきます。
Red Eye
ここまでガッツリ歌ってる曲初めてだと思います。曲調の通りのペインソングです。タイトルのRed Eyeはヘルキャットという車のことらしいです
「I can buy a hatchback, but can’t buy my family back, my life nothin’ (ハッチバックの車を買うことはできる、だけど家族は買い戻せない、俺の人生は空っぽだ)」という風に、大金持ちになっても去っていった家族や、失った仲間は帰ってこないという痛みを歌っています。
Fine By Time
ボコボコ鳴るドラムと生演奏みたいなピアノが疾走感あってかっこいい曲です。
Bad Bad
派手さはないですが癖になる曲です。
18th : 38 Baby 2 (4/24)
前作から2ヶ月を空けてリリースされた18枚目のミックステープです。2016年リリースの傑作、38 Babyの続編にあたります。(タイトル以外の関連性はわからないですが)
今までと比べると異質な感じの作品で、最初聞いた時はピンと来なかったのですが、聞いてるうちに徐々にわかってくるタイプです。スルメ系ですね。けっこう好み分かれると思います。とはいえ好みじゃないですませるにはもったいないような、強いエネルギーを感じる作品なんで何回か聞いてみるのをおすすめします。
客演はDaBabyなどが参加してます。また、2019年のAI YoungBoy 2以来の全米1位を獲得した作品になりました。
Bout My Business (feat. Sherhonda Gaulden)
イントロでは祖父との電話から始まり、YoungBoyのお母さんもラップで参加しているというファミリーな曲です。息子への愛を感じるラップにはグッと来るものがあります。YBのリリックでは祖父と、亡くなった祖母のことに言及しています。
「I watched my grandpa save pennies / I wish my grandma was right here standin’ on side of me (おじいちゃんが倹約しているのを見てきたんだ / おばあちゃんがここにいて、俺のそばにいてくれることを望んでるんだ)」
Diamonds
このアルバムの雰囲気を象徴するような曲です。タイトルのDiamondsは自分の成功のことを例えていて、どのように輝きを得てきたのか、心情的な部分を中心に説明しています。痛みを歌う曲でありながら、鼓舞してくれるようなポジティブさを感じる曲です。
「I say confess, tell the truth ‘bout everything I know / And I promised to place you deep inside, right there where my pain is (俺が知っていることについて、本当のことを言うよ / 深いところに連れていくことを約束する、そこは俺が痛みを感じているところだ)」
Thug of Spades (feat. DaBaby)
アルバムの中で一番印象的な一曲です。
ドラマチックなビートの上で丁寧にラップするYoungBoyと荒々しくラップするDaBabyが対照的です。この頃のDaBabyの勢いは凄まじかったです
AI Nash
単体で聞く時以上に、アルバムの流れの中で聞くといい感じな曲です。
「it’s just me and me and my fifth baby mama」と歌ってるのでこの時点で5人目のベイビーママがいたんですね
Ten Talk
車やらジュエリーやらが足りすぎてるということを退屈そうに歌ってます
19th : Top (9/11)
ジャケがRoddy Ricchみたいってことでも結構話題になったアルバムです。多分結構気合込めて作った作品で、今までと比べるとメジャー感のあるアルバムです。1曲1曲のクオリティは高いんですが、正直通しで集中して聞くには疲れるかなって感じです。ただいい曲は多いです。夜にランニングしてる時とか聞いてました。また、前作に引き続き全米1位を獲得しています。
客演でLil WayneとSnoop Doggが参加してます。
そしてこの作品をリリースした後、またしても刑務所に入ることとなります。
Kacey Talk
Kaceyは彼の子どもの名前です。
ギターの演奏がかっこいい曲です。リリックはフレックス系です。
キャッチャーのプロテクターを防弾チョッキみたいに着てるのがファッションなのかギャグなのかが気になります
My Window (feat. Lil Wayne)
ついに同じルイジアナ州で最高のラッパーであるLil Wayneとの共演です。YoungBoyももちろん気合入ったラップしてますがLil Wayneがやばいですね、息継ぎ3回くらいしかしてないようなツメツメのラップしてます。
All in
ゆったりしたギターが切ない曲です。ドラッグやら人間不信やらでヨレヨレなことを歌ってます
Dead Trollz
シリアスなピアノビートと緊迫感のあるラップがかっこいいです。落ち着いた曲が多いアルバムの中でかなり強烈な曲です。MVでのQuando Rondoの狂気あふれる感じが見どころです
「Seven murders in my hometown, tell them btches I did that* (地元で7件の殺人事件、あいつらに俺がやったと言っとけ)」このラインは”War wit Us”という曲からの引用ですね
Murder Business
タイトルの通りの曲です。結構生々しい感じのこと言ってます。
Sticks with me
2019年までのNBA YoungBoyっぽい曲です。
「my son be screamin’, “Gang, gang” (うちの息子がギャンギャンと叫んでる)」そらそうでしょう
House Arrest Tingz
2019年に出所したすぐ後にリリースされた曲です。しっとりしたビートでしっとりラップしてます。自宅からでれないことの退屈さを歌っています。ラップの乗せ方がめちゃくちゃ気持ちいいです。
To My Lowest
ソウルフルなサビがグッと来ます。この曲もお気に入りです。
Peace Hardly
切羽詰まったような感じの曲です。平穏は手に入らないということを歌ってます。
Callin (feat. Snoop Dogg)
西海岸のレジェンドSnoop Doggとの共演作。ゆったりした曲でアルバムを〆ます
20th : Until I Return (11/11)
逮捕はされたものの速攻で出てくるNBA YoungBoyでした。
そして、サプライズ気味にリリースされた20枚目の作品です。一応位置づけとしては2016年のミックステープBefore I Goの続編らしいです。ぶっちゃけこのミクステはあんま聞いてなかったです(笑)
Around
サビがちょっとNo Mentions(Decided収録)に似てるかなって感じです。2ndバースの落ち着いたラップがいい感じです
Thrasher
Quando Rondoが使いそうな攻撃的なビートです。このミクステの中では一番ハードな曲です
「my Vlone collab made three M’s in three days (Vloneとのコラボは3日で300万ドル売れた)」そういえばTopが出た頃に確かにVloneとのコラボでTシャツとか出してましたね
21st : Nobody Safe (w/ Rich the Kid) (11/20)
前作の9日後にリリースされた、アトランタの人気ラッパーRich the Kidとのコラボミックステープです。経緯は知らないですが仲がいいみたいで、このミクステの前にも3曲ほどコラボ曲がリリースされてます。
特に飛び抜けた曲はないですが自分のソロ曲ではやらなそうなビートでラップしてたりするのでそこそこ面白いミクステです。
Lil WayneとRod Wave、 Quando Rondoが参加しています。
Bankroll
昔のダンスミュージックみたいな雰囲気の曲です。こういうのでもしっかりラップできるんさすがやなって思います。ただRich the Kidが上手すぎましたね
Automatic
Rich the Kid寄りのトラップ曲です。
Can’t Let The World In
YoungBoy寄りのビートで2人ともハードにスピットしてます。
「Twitter, Instagram, erase it all, can’t let the world in」Twitterもインスタもアカウント消したからお前らは俺の生活に入り込めへんぞって言うてます
ちなみに、このミクステの続編も出るかもらしいです
まとめ
順調にリリースを重ねたものの、結局またしても刑務所に入ったり、いろいろある一年でした。とはいえ、アルバムはバカ売れし、MigosやMike Will Made-It、Nicki Minaj、DaBaby、The Kid Laroi、Future、French Montanaに2 Chainzといった、幅広い人気アーティストへの客演もあり、ある意味今では考えられないほど、多くの人が彼に対してポジティブなイメージを抱いていました。
そして、現在のNBA YoungBoyが業界で最も嫌われるラッパーとなってしまう、発端の事件がこの年の終盤に起こりました。
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